≪ことばのこと≫#2 「なんか変!?」

と、言っても決してコレではありません…

先日、テレビで中継リポートを見ていた時のこと。女性リポーターの、「日本酒なんかにもよく合う味です」とのコメントに、私は「もしかしたら彼女は日本酒が苦手なのかな」と、思ってしまいました。

「…なんか」という言葉を辞書で調べると、①一つの例として示す。「こちらの品~いかがですか」②望ましくないもの、価値の低いものとしてあげる。…など「おまえ~に負けない」「嘘~つかない」(『広辞苑』第7版)とあります。もちろん、①の意味で使っているわけで、日本語として誤りとはいえないでしょう。

(「君なんかはどう思う?」「お宅の息子さんなんかにいかがですか?」のような使い方は明らかな誤りですが)

とはいえ、「なんか変!?」と思ってしまうのは私だけでしょうか?そして、なぜそう思ってしまうのでしょうか?

様々な人が見ている中継で「日本酒なんかにも…」と使うと、「なんか」に②の意味がある以上、誤解されることもあるかもしれません。加えて言えば、①の例の「こちらの品なんか」という例文は、『こちら』という自分の側にあるものについての発言ですが、「日本酒なんか」の日本酒は、もしかしたら受け手の側のすぐそばにあるかもしれませんし、まさに日本酒で一杯やっている人もいるかもしれません。さらに言えば、酒蔵の方はどう思うか…

ほんの一言の言葉でも口にする前に一瞬で吟味して、その時々で、或いは場面場面で最も適した表現を選びたいものです。

ところで、福岡・百道浜界隈も、このところ少しずつ春を感じられる空気に変わってきました。

春が近づくと、ウキウキしてきます。50代の私なんかでも…

花見は日本酒がいいなあ。

 

 


≪ことばのこと≫#1 「重複表現」

 

2018年。相変わらずスタジオよりも録音ブースでの仕事が多い日々です…

さて、早くも2月。年明けから初詣や合格祈願、そして節分と神社やお寺を訪れることも多いシーズンですね。放送でも、そういった話題を扱うことが増える時期です。

先日のこと。生放送を直前に控えた後輩が相談に来ました。「『訪れた参拝客は…』という表現はおかしくないですか」と。

確かに、「参拝客」は神社やお寺の側から見た言葉であり、違和感を覚える人も多く注意したい言葉です。そのことを指摘すると、その後輩が「『訪れた』はどうでしょうか……」と。辞書を引くと、参拝とは「神社(寺)に行って拝むこと」(大辞林 第三版)であり、「訪れる」と「行く」が重なっているともいえるでしょう。言葉への考え方は、人によっていろいろですが、いずれにしても「訪れた人は」あるいは「参拝した人たちは」などと、よりシンプルに表現できるのは確かです。

「一番最初」「ダントツの1位(「ダントツ」とは「断然トップ」の略なのです)」「炎天下のもと」「元旦の朝」「クリスマスイブの夜」「最後の追い込み」などは、同じ意味を重ねた明らかな重複表現。言葉のプロフェッショナルであるアナウンサーは、もちろん使うべきではありません。

つい、うっかり使ってしまいがちですが、日頃から言葉の感覚を磨いておかないと、あとで後悔…。あっ!