≪ことばのこと≫#7「サイセッキン」

久しぶりの更新になりました…

先日、休みを利用して久しぶりに、大分・熊本へ。季節はいつの間にか、晩秋から初冬へ。名残の紅葉を堪能してきました。

穏やかな風景ですが、思い起こせば、この1年は自然の猛威をまざまざと見せつけられた年。「西日本豪雨」そして次々に列島を襲った台風。毎週のように大型台風接近の情報をお伝えした時期もありました。

そんな中で気になった言葉が「最接近」。

新聞記事では当たり前のように目にする言葉ですが、「台風が福岡県に『最接近』するのは、あすの午前中とみられます」などと、放送でも時々登場しました。

文字を見れば、「最も接近する」と、一目でわかりますが、音声で「サイセッキンン」と言われても、耳になじみのない言葉です。

時に、人の命にもかかわる情報だからこそ、放送では、誰にでも伝わりやすい、耳で聞いてわかりやすい言葉を使うことが大切なのです。

ある日、「ももち浜S特報ライブ」の気象情報でおなじみ、気象予報士の益山さんにこのことを話すと、ハッとさせられる答えが返ってきました。「再接近と区別がつきませんね。迷走台風ではある地点に再び接近するという台風もあります」そういえば数年前、そんな台風もありました。さらに今年は、通常と反対の東から接近する台風もありました。

これまで経験したことにない災害が起こることもある今の時代だからこそ、視聴者に確実に伝わる言葉を選ぶことが大切です。