≪ことばのこと≫#4 「七…何と読む?」

ここ数年、月に一度、茶の湯と向き合う時間を持っています。日本古来の和の文化に触れ、集中するひと時は、今やなくてはならないものになりました。お茶を起点として日本の伝統への興味も広がりました。と言っても、お茶の木そのものや、お茶を飲むという習慣は、その昔、中国から入ってきたものです。

ところで、皆さんもご存じのとおり、日本語にも日本古来の読み方(=訓読み)と、中国から入ってきた読み方(=音読み)があります。

先日のこと、後輩アナウンサーから段位の「七段」は「ナナ」か「シチ」かという質問を受けました。「ナナ」は日本古来の「ななつ」からきた読み方、一方の「シチ」は漢語の読み方です。放送でよく出てくるのは、囲碁や将棋あるいは柔道、剣道の段位。この場合は「シチ」のほうがふさわしく感じます。念のためフジテレビ系列のアナウンサーが使っている放送用語のハンドブックを確認すると、段位の「七段」はやはり「シチ」で統一していました。

ちなみにハンドブックでは、「七位」(官位名」「七回忌」「七代目」「第七日」「七年」(「ナナネン」も)「七人」「七里」などは「シチ」と読むと統一しています。

数字を「0」から読み上げていくと、「レー・イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・シチ・ハチ・ク・ジュウ」。我々の世代だとお風呂から上がる時に、十数えなさいと親に言われたものです。「初段、二段、三段…」と数えていくと、やはり「シチ」が本来なのです。一方、日本古来の数え方でいくと「ヒトツ・フタツ・ミッツ・ヨッツ・イツツ・ムッツ・ナナツ・ヤッツ・ココノツ・トー」ですね。ただ、最近では「シ」の代わりに「ヨン」、「シチ」に代わって「ナナ」という言い方も広まっています。

今、私たちが使っている日本語は、このように日本古来のものと、大陸から入ってきたもの、さらに明治以降西洋から入ってきた言葉が融合しているものなのです。それが顕著に表れている例をひとつ。これは井上ひさしさんも著書でお書きになっていたのですが…

10からカウントダウンすると…「ジュー・キュー・ハチ・ナナ・ロク・ゴ・ヨン・サン・ニ・イチ」と、あら不思議。「ナナ」であり「ヨン」が自然なのです。そしてさらに、「0」は「ゼロ」。「もう幾つ寝るとお正月」のように数えることが普通で、元々カウントダウンの文化が日本になく、比較的最近の文化だからなのでしょうか。

日本語は、なんとも奥深いことばなのです。冒頭の「茶の湯」。「茶道」という言い方もしますが、「サドウ」「チャドウ」二通りの読みかたを耳にしますね。これについては、また次の機会に…

 


「気合入ってます!」

 

「どうした?TNC」今週の収録は、いつもよりさらに気合十分。

スタジオセットはいつも通りシンプルなのですが、この番組の最大のテーマは、TNCのPR。3月はテレビ西日本の発信で、全国の皆様にご覧いただきたい番組があるのです。そこで…カチューシャに注目!

3月18日(日)午後4時5分放送 「華丸・大吉のこんな仕事があったんだ3」

テレビ西日本から、フジテレビ系列・全国28局ネットでお届けします。

ぜひ、ご覧ください!

どうぞよろしくお願いいたします!

 

 


≪ことばのこと≫#3 「具と具材」

毎週日曜日の午後3時から放送の「競馬BEAT」。この冬の小倉競馬場からの放送は、3月4日が最終日。出演者、スタッフを合わせるとかなりの人数になるため、毎週の昼食は弁当。先日は、かしわめしの弁当をいただきました。

九州の名物、鶏のスープの炊き込みご飯の上には、細かく刻んだ鶏肉、海苔、そして錦糸卵。この錦糸卵、かしわめし以外にも、ちらし寿司や冷やし中華などの具としてかかせないものですが、最近は「具」という言葉の代わりに「具材」という言葉をよく耳にします。

ネットで検索すると、『具材たっぷりの中華風炊き込みご飯』『8種の具材が入った豚汁』『ホタテやアサリなどの海鮮具材をトッピング』などといったフレーズが出てきました。しかし、これらの例はよく考えると、「具材」ではなく「具」で通じるのではないでしょうか。

最新の「広辞苑」第7版で、単純明快な解説を見つけました。

具:汁や五目ずしなどの中に入れたりピザにのせたりするたね

具材:料理の具に用いる材料

ということは、先程の中華風炊き込みご飯や豚汁はまだ出来上がっていない状態を指すことになります。さらに3つめは、何かのメニューに生のホタテやアサリをのせたもの、ということに…。いずれにしても、正直そんなにおいしくなさそうに感じてしまいます。

放送で使う言葉でも、時折「具」と「具材」を混同した表現に出会います。以前、フジ系列の放送用語に関する会議の席で、アナウンサーの大先輩から「具」と「具材」について、とてもわかりやすい具体例を教えていただきました。

ちらし寿司であれば、「具」は錦糸卵。「具材」は錦糸卵に料理する前の卵。

「具」と「具材」。言葉として口にするとわずかな違いですが、放送ではしっかりと使い分けたいものです。

それにしても、かしわめし、いつ食べてもお味は「goo!」です。

 

 

 

 


≪ことばのこと≫#2 「なんか変!?」

と、言っても決してコレではありません…

先日、テレビで中継リポートを見ていた時のこと。女性リポーターの、「日本酒なんかにもよく合う味です」とのコメントに、私は「もしかしたら彼女は日本酒が苦手なのかな」と、思ってしまいました。

「…なんか」という言葉を辞書で調べると、①一つの例として示す。「こちらの品~いかがですか」②望ましくないもの、価値の低いものとしてあげる。…など「おまえ~に負けない」「嘘~つかない」(『広辞苑』第7版)とあります。もちろん、①の意味で使っているわけで、日本語として誤りとはいえないでしょう。

(「君なんかはどう思う?」「お宅の息子さんなんかにいかがですか?」のような使い方は明らかな誤りですが)

とはいえ、「なんか変!?」と思ってしまうのは私だけでしょうか?そして、なぜそう思ってしまうのでしょうか?

様々な人が見ている中継で「日本酒なんかにも…」と使うと、「なんか」に②の意味がある以上、誤解されることもあるかもしれません。加えて言えば、①の例の「こちらの品なんか」という例文は、『こちら』という自分の側にあるものについての発言ですが、「日本酒なんか」の日本酒は、もしかしたら受け手の側のすぐそばにあるかもしれませんし、まさに日本酒で一杯やっている人もいるかもしれません。さらに言えば、酒蔵の方はどう思うか…

ほんの一言の言葉でも口にする前に一瞬で吟味して、その時々で、或いは場面場面で最も適した表現を選びたいものです。

ところで、福岡・百道浜界隈も、このところ少しずつ春を感じられる空気に変わってきました。

春が近づくと、ウキウキしてきます。50代の私なんかでも…

花見は日本酒がいいなあ。

 

 


「日曜午後3時は、『競馬BEAT』」

日曜日の午後3時からお送りしている、日曜競馬中継「競馬BEAT」。今度の日曜日(18日)からの3週は、テレビ西日本の制作で小倉競馬場から、京都・東京(25日からは阪神・中山)そして小倉と、3つの競馬場を結んで注目のレースをお届けします。

例年以上に厳しい寒さが続くこの冬ですが、芝コースは鮮やかな緑。実況席に座っていると毎年、1週ごとに日差しも力強さを増し、風も少しずつ優しく感じられるようになります。

競馬中継を担当しはじめて25年ほど。若い頃は競馬担当アナウンサーは私一人。平日の取材も含め週のうち5日を競馬場で過ごした時期もありましたが、近年は後輩たちが次々と担当に加わりました。それでもほぼ毎年、実況を担当してきましたが、この冬の3週は新進気鋭の松尾アナウンサーがメインレースの実況を担当。本番に向けて仕上がり良好と聞いています。

18日の放送は、小倉ではGⅢの小倉大賞典。そして、東京競馬場では今年初めてのGⅠレース、フェブラリーステークス。ぜひ「競馬BEAT」で熱戦お楽しみください!

司会は、坂梨公俊アナウンサーと新垣泉子アナウンサー。実況は松尾幸一郎アナウンサー、そしてインタビュー担当は大谷真宏アナウンサーでお送りします。