《ことばのこと》#11「茶葉」

桜の季節も瞬く間に過ぎ、鮮やかな新緑の季節へ。我が家小さな庭の隅で芽吹いた新緑、実は、お茶の葉です。

毎年この時期になると、お茶の産地から新茶の入札会や、お茶の豊作祈願祭のニュースが届きます。先日ニュースを見ていると、新茶を取り上げた項目の中で、「今年はチャバの生育もよく…」というフレーズが、テレビから聞こえてきました。

「チャバ」、漢字で書くと「茶葉」なのですが、ひと昔前には聞かなかった言葉です。手元の辞書で調べると……

大辞林『チャバ』「ちゃよう」に同じ./『チャヨー』(飲料とする)お茶の葉

新明解『チャバ』「ちゃよう」の口語的表現/『チャヨー』飲料とする茶の葉。ちゃば

すなわち元々は「ちゃよう」のようです。また、インターネットで検索するとお茶を専門に扱う方の間での読み方や、専門書の記載は「ちゃよう」のようです。

とはいえ、コマーシャルで使われだした「茶葉(チャバ)」という読み方も、すっかり私たちの日常にもなじんでいます。広辞苑では最新版の一つ前の第6版の段階で、「チャヨー」の見出しはないものの、「チャバ」が見出しとして採用されています。

辞書によっても見解が分かれている「茶葉」。放送では果たして、どちらの読み方がふさわしいのでしょうか?フリートークでは「チャバ」もあり?生産者や入札など、お茶を専門に扱う人や会合などは「チャヨー」?頭を悩ますところですが、先程のニュース原稿の場合は「お茶の葉の生育もよく」或いは、お茶を扱っているのですから単に「葉の生育もよく」でよいのかもしれませんね。