≪ことばのこと≫#3 「具と具材」

毎週日曜日の午後3時から放送の「競馬BEAT」。この冬の小倉競馬場からの放送は、3月4日が最終日。出演者、スタッフを合わせるとかなりの人数になるため、毎週の昼食は弁当。先日は、かしわめしの弁当をいただきました。

九州の名物、鶏のスープの炊き込みご飯の上には、細かく刻んだ鶏肉、海苔、そして錦糸卵。この錦糸卵、かしわめし以外にも、ちらし寿司や冷やし中華などの具としてかかせないものですが、最近は「具」という言葉の代わりに「具材」という言葉をよく耳にします。

ネットで検索すると、『具材たっぷりの中華風炊き込みご飯』『8種の具材が入った豚汁』『ホタテやアサリなどの海鮮具材をトッピング』などといったフレーズが出てきました。しかし、これらの例はよく考えると、「具材」ではなく「具」で通じるのではないでしょうか。

最新の「広辞苑」第7版で、単純明快な解説を見つけました。

具:汁や五目ずしなどの中に入れたりピザにのせたりするたね

具材:料理の具に用いる材料

ということは、先程の中華風炊き込みご飯や豚汁はまだ出来上がっていない状態を指すことになります。さらに3つめは、何かのメニューに生のホタテやアサリをのせたもの、ということに…。いずれにしても、正直そんなにおいしくなさそうに感じてしまいます。

放送で使う言葉でも、時折「具」と「具材」を混同した表現に出会います。以前、フジ系列の放送用語に関する会議の席で、アナウンサーの大先輩から「具」と「具材」について、とてもわかりやすい具体例を教えていただきました。

ちらし寿司であれば、「具」は錦糸卵。「具材」は錦糸卵に料理する前の卵。

「具」と「具材」。言葉として口にするとわずかな違いですが、放送ではしっかりと使い分けたいものです。

それにしても、かしわめし、いつ食べてもお味は「goo!」です。