≪ことばのこと≫#1 「重複表現」

 

2018年。相変わらずスタジオよりも録音ブースでの仕事が多い日々です…

さて、早くも2月。年明けから初詣や合格祈願、そして節分と神社やお寺を訪れることも多いシーズンですね。放送でも、そういった話題を扱うことが増える時期です。

先日のこと。生放送を直前に控えた後輩が相談に来ました。「『訪れた参拝客は…』という表現はおかしくないですか」と。

確かに、「参拝客」は神社やお寺の側から見た言葉であり、違和感を覚える人も多く注意したい言葉です。そのことを指摘すると、その後輩が「『訪れた』はどうでしょうか……」と。辞書を引くと、参拝とは「神社(寺)に行って拝むこと」(大辞林 第三版)であり、「訪れる」と「行く」が重なっているともいえるでしょう。言葉への考え方は、人によっていろいろですが、いずれにしても「訪れた人は」あるいは「参拝した人たちは」などと、よりシンプルに表現できるのは確かです。

「一番最初」「ダントツの1位(「ダントツ」とは「断然トップ」の略なのです)」「炎天下のもと」「元旦の朝」「クリスマスイブの夜」「最後の追い込み」などは、同じ意味を重ねた明らかな重複表現。言葉のプロフェッショナルであるアナウンサーは、もちろん使うべきではありません。

つい、うっかり使ってしまいがちですが、日頃から言葉の感覚を磨いておかないと、あとで後悔…。あっ!