春を“観測”

気象情報の原稿を手にした若手アナウンサーから、「『ひばりの初鳴きを観測』と書い
てあるのですが、“観測”でいいのですか?」と質問を受けました。

答えは○……気象台が観測しているのは、天気や気温だけではないのです。
ひばりの初鳴き……実は、毎年気象台が観測しているのです。
「生物季節観測」といって、身近な植物、昆虫、鳥などの動きを見て季節の進みを把握する観測だそうです。私たちに最もなじみがあるのは、サクラの開花日ですよね。
ほかにもいろいろ、「生物季節観測」の観測種目があるらしいということで、この方に
伺いました。

おなじみ、日本気象協会・手嶋準一さんです。
手嶋さんのお話では、例えば花の開花では、うめ、つばき、たんぽぽ、そめいよしの、
……あじさい、すすきなど。秋になると、いちょうの『黄葉』や『落葉』。動物ではひば
り、うぐいすの『初鳴』、つばめ、もんしろちょう、とのさまがえる、ほたるなどの『初
見』、あぶらぜみ、ひぐらし、もずの『初鳴』などの観測種目があるそうです。

でも、これらは自然の豊かな場所でなければ「観測」できません。植物は、気象台の敷
地に生える「標本木」で確認できますが、鳥などの場合は、観測員が通勤途中に「観測」したりするそうです。ですから、観測できない年もあるとのこと。(実際、ひばりの初鳴の場合、近年では2008年と2010年は観測データがありません)

冒頭のひばりの初鳴き、今年福岡では2月27日に観測。
平年より10日、去年より22日遅いのだそうです。
ちなみに梅の開花も平年より12日遅い2月14日だったそうです。

季節の進み具合を知る方法は、気温だけではないのです。
昔から日本人は生きものの動きを見て季節を感じていたわけですね。

いよいよ3月。福岡のうぐいすの「初鳴」、平年は3月4日。
つばめの「初見」の平年は3月24日。

さて、今年は……

季節の進み具合を気温などの数値以外で感じる…年度末に向かう慌しい季節だからこそ気持ちに余裕をもちたいものです。


早いもので2月も下旬。少しずつ春の訪れが感じられるようになってきました。

それにしても、この冬は全国的に厳しい寒さでした。雪国からは連日豪雪のニュースも伝えられました。下の2枚は、この冬訪れた、新潟県越後湯沢で・・・

そして、先日は福岡市でも5年ぶりに5センチの積雪。
以前、紹介したりんごの木も・・・

少しずつ枝から雪が落ちる様は、なかなかの風情・・・・・・

これを、どう表現しようかと辞書をめくると「垂り雪(しずりゆき)」という言葉がありました。
恥ずかしながらはじめて知った言葉です。そこで、「雪」がつく言葉を探してみました。

淡雪、大雪、小米雪、粉雪、小雪、細雪、里雪、白雪、どか雪、にわか雪、初雪、
花の雪、ぼた雪、牡丹雪、万年雪、綿雪……

まだまだたくさんありました。一言で「雪」といっても、様々な表現があります。
自然とともに暮らしながら春を待つ日本人の細やかさを改めて感じました。

表現力豊かな伝え手でありたいものです。